小さな会社・小規模事業所健康管理

総務省が実施した事業所統計調査の結果では、20人未満の事業所で働くサラリーマンは、全体の約3割を占めています。
小さな会社・小規模事業所の占める割合は大きくなっています。しかし、小規模事業所の労働衛生水準は大規模事業所と比べて低いと推定されます。
小さな会社・小規模事業所では、一人あたりの仕事量も多いため、急に社員が辞めたり欠勤したりすると対応が大変になります。
小さな会社・小規模事業所では、社員の負担も大きく、過重労働面談やメンタルヘルスマネジメントができていないところが多いため、健康起因事故や労災事故も起こりやすいです。一度、そのようなことが起きれば会社は成り立たなくなります。
小さな会社や小規模事業所こそ、健康管理対策に力を入れなければならないのです。
私の産業保健の出発点は、零細企業の巡回バス検診の診察医です。
その経験を元に、経済的・効率的に小さな会社の健康管理を支援します。

取り組むべきこと

定期健康診断

50人未満の事業所には、産業医・衛生管理者・衛生委員会の設置の義務はありませんが、健康診断は実施しなければなりません。
近くの診療所や病院などで定期健康診断が受診できるかどうか相談してみてください。また、同じエリアで懇意にしている仲の良い企業などと合同で健康診断機関に定期健康診断をお願いする方法もあります。
受診人数が50人を超えると、健康診断機関が出張してくれる場合があるからです。
パート・アルバイトなどの従業員でも、フルタイムはもちろん正社員の4分の3以上の時間、勤務している人には、定期健康診断を受診させなければなりません。
短時間労働のパート・アルバイトも、会社が費用負担して健康診断を実施することが理想ですが、むずかしければ、自費で受けさせる、住民健康診断、配偶者健康診断というかたちで受けさせるなど、定期的に健康診断を受けさせる習慣をつくることが重要です。

産業医

50人未満の事業所は、産業医を選任する義務はありませんが、顧問医の契約はしておくと良いでしょう。顧問医の場合、定期訪問業務をお願いしなければ経費も安くなると思います。
健康診断の事後フォローや、メンタルヘルスマネジメント、過重労働面談など、気軽に相談できる窓口となります。商店街・温泉の組合・同業者の団体と契約している実績もあります。
下村労働衛生コンサルタント事務所でも、顧問医などの相談をお受けします。

衛生推進者

労働安全衛生法は、常時雇用する従業員(パート社員を含む)が10人以上いる事業所ごとに「衛生推進者」を選任します。「衛生推進者」は、事業所で健康診断の実施、健康保持増進のための取り組みを担当する人です。また、製造業・建設業などでは「安全衛生推進者」を選任する必要があります。
職場に安全衛生の実務担当者を配置して、その人を窓口にして健康管理を推進すると効率が良くなります。

衛生推進者の資格要件

  1. 都道府県労働局長の登録を受けた者が行う講習を修了した者
  2. 学校教育法による大学又は高等専門学校を卒業した者で、その後1年以上安全衛生の実務(衛生推進者にあっては、衛生の実務。以下同様)に従事した経験を有する者
  3. 学校教育法による高等学校又は中等教育学校を卒業した者で、その後3年以上安全衛生の実務に従事した経験を有する者
  4. 5年以上安全衛生の実務に従事した経験を有する者

パート・アルバイト・派遣社員の安全と健康管理

小さな会社・小規模事業所には、パート・アルバイト・派遣社員と、いわゆる非正規労働者が多数働いています。正社員に比べると、健康や安全について関心のない方が多いように思えます。職場に慣れない間に事故を起こしやすい傾向もあります。
女性のパート・アルバイト・派遣社員も多いので、女性特有の病気・女性が感じやすいストレスに対応した健康管理が必要です。

過重労働対策

過労死・過労自殺は小さな会社・小規模事業所で起きることが多いため、しっかりとした予防体制をつくらなければなりません。
定期健康診断を受け、要再検査・精密検査の場合はしっかり受けさせて、主治医などの指示に沿って就業させるなど配慮が必要です。特に、心臓病・高血圧・糖尿病のほか、過労自殺を誘発しやすい精神疾患には注意が必要です。
「このまま就業させて問題がないか?」
「診断書や医師の意見に沿って仕事をさせているか?」
「配慮をしているか?」
を定期的にチェックする必要があります。
50人未満の事業所は、産業医・衛生委員会の設置義務はありませんが、過剰労働面談の実施義務はあります。近くに産業医資格を持った医師がいれば、その先生にお願いするのが理想的です。

小さな会社・小規模事業所の健康管理担当者の方へ

下村労働衛生コンサルタント事務所では、メールや来所による健康相談に応じる方法でできるだけ会社の負担が少なくなるように、小さな会社・小規模事業所の健康管理をサポートしています。気軽にお問い合わせください。