今年から私はスーパーマーケットの産業医を担当することになりました。
先日実施した社員とパートタイマーの健康診断結果をまとめてみて私は愕然としました。
重症の糖尿病、高血圧、婦人科系のがん、未治療の心臓病やアルコール性肝障害……
健康そうに見えた女性社員がいろいろな病気や健康不安を抱えていたのです。
女性の多い会社は、健康管理の手間がかからないというのは、昔の話になりつつあることを実感し、女性社員の健康管理の重要性を感じました。

背景

高まる女性の健康リスク

1985年に「男女雇用機会均等法」が施行され、当時、入社した大卒女性社員は、退職をしていなければ中間管理職になっているはずで、女性社員の健康リスクは高まっているといえます。
女性は、男性に比べると、お酒・たばこ・職場のストレスの影響を受けやすく、一旦、心臓病・糖尿病やうつ病にかかると「予後が悪い」といわれています。
未婚やバツあり独身の一人暮らし・お酒・たばこ・仕事上のストレスといった男性化した生活を送る女性社員が多いことを考えると、今後、がん、心臓病、うつ病といった健康上のトラブルには会社としても注意が必要です。

女性社員の健康管理のポイント

女性のライフスタイル・特有の病気・ストレスに配慮し、女性社員が健康で安全に仕事に専念できるような気配りが女性の健康管理では重要です。
しかし、会社の健康診断や健康管理は、男性社員が前提となっていることが多く、女性社員が必要としている内容だといいきれない事業所もたくさん見受けらます。
女性社員の健康管理に対応するために、女性特有の病気やストレスの感じ方を理解しておく必要があります。

ポイント①女性特有の健康上のトラブルを知る

女性社員は、私生活では、妻・母・嫁といった役割を担っています。出産・子育て・介護などを通じて、仕事と生活のバランスは大きく変化します。また、女性ホルモン特有の影響によって、感情が変化しやすいのも特徴です。
女性社員は、妊娠、月経異常、不正性器出血、月経困難症、月経異常、更年期障害、貧血、便秘のほか、セクハラなど人間関係によるストレスといった、男性管理職にはわかりにくい健康上のトラブルが出現します。
日々の家事や育児の負担もあり、男性に比べ家庭でも疲労を蓄積しやすく、過重労働で体調を崩しやすい、肩が弱く手首が細いため、疲れ目、肩こり、腱鞘炎といったパソコン操作に起因する症状を悪化させやすいという問題もあります。また、セクハラにとどまらず、パワハラ・モラハラが原因で、精神を病んだと主張する女性社員も増加しています。
さらには、部下の社員と大小関わらずさまざまなことで衝突するトラブルも報告されています。

ポイント② 健康管理担当者や産業医は女性を選任しましょう

女性は、からだやこころのことを男性には相談しないものです。女性社員の多い職場であれば、女性を健康管理担当者に登用し、女性産業医を選任する方法が望ましいです。

ポイント③ 女性向けの健康教育

前述したように、男性化した生活を送る女性も増え、健康とは無縁の女性社員も探せばいるはずです。「3食しっかり食べる」「菓子やスイーツ・果物に偏らない」「休日に遊びすぎない」「私生活のストレスを職場に持ち込まない」「女性であることに甘えない」「美容と健康は別問題」といった教育を徹底して教え込む必要があります。

ポイント④ 婦人科系がん検診の案内を忘れずに

定期的に婦人科系のがん検診を案内できる環境を用意し充実させることも女性社員の健康管理のポイントです。

女性パートタイマーの安全、教育や対策のポイント

女性パートタイマーは、仕事ではなく、家庭を中心に一日の予定を立てています。特に、主婦の場合は、子どもの送り迎え、介護、仕事、買い物、夫の帰宅など、時間に追われた生活をしています。業務上や通勤時の思わぬケガなどを防ぐために、こうしたライフスタイルに配慮した安全教育を実施すべきです。
雇用契約時や契約更新時には、健康状態や家庭の状況、兼業の有無といった、個々の生活パターンをしっかり確認し、無理をせず健康で安全に働けるような労働条件を提示すべきです。

女性社員へのセクハラ防止は、企業責任

セクハラは、労災認定において判定材料になる可能性が大いにあります、セクハラが発覚したあとの職場の対応によっては、企業の責任追及を免れることはできないこともあります。
会社は、男女雇用機会均等法により、雇用管理上、セクハラ防止を義務付けられています。男性管理職に対するセクハラ防止教育は、女性のメンタルヘルスマネジメントを進めていくうえでも、とても重要です。